目に現れる症状には、目そのものに原因があるばかりでなく、
背景に大きな病気が隠れているようなケースもあります。
眼科の専門医の受診は、それらの病気の早期発見につながります。

結膜炎はなぜなるのか?

白目やまぶたの裏側を包んでいる結膜が、細菌やウイルスの付着、アレルギーなどで炎症を起こすことがあります。

水泳の時期には、アデノウイルスによる流行性角結膜炎が発生することもあります。
また、体力の低下や、他のウイルス感染で免疫力が落ちているときなどでも、罹患する場合があります。

Q 症状は?
A
ひどい充血や、目やに・涙が多く出ます。
Q 治療法は?
A
原因によって違いますが、多くは点眼薬や軟膏薬の点入です。
体力や免疫力の低下の場合は、栄養の補給など別の治療も必要です。

ものもらい(麦粒種)はなぜなるのか?

汗や分泌物を出す腺、まつげの毛根に老廃物や脂肪が詰まり、細菌感染して炎症を起こす症状です。

汗や分泌物を出す腺、まつげの毛根に老廃物や脂肪が詰まり、細菌感染して炎症を起こす症状です。

ニキビにたとえられることもあり、目のまわりを不潔な手で触ったりすることで感染することが多いのですが、風邪や他の病気で体力が落ちているときなどにも感染しやすくなります。

Q 症状は?
A
まぶたに赤い腫れ物ができ、痛みや痒みがでます(炎症)。
状態が悪くなると腫れや痛みが強まり、局所が化膿する場合がありますが、膿を出せば症状は回復に向かいます。
Q 治療法は?
A

主に抗生物質の点眼薬を用います。
腫れ物の化膿が進んだ場合は切開し膿を出すこともあります。

飛蚊症はなぜなるのか?

眼球の中には、硝子体と呼ばれる透明な組織があります。
これはゼリー状ですが、年をとると少しずつ液体に変化し、硝子体そのものが縮み始めます。
個人差はありますが、60代前後になると縮んだ硝子体が網膜から離れ、間に隙間ができます。
隙間ができることで、硝子体の後ろ側の膜が網膜に影として写り、急に現れるのが飛蚊症です。

Q 症状は?
A
糸くずや黒い影が視線を変えて見ても見える、蚊のようなものが目の前をフワフワ動いているなど、視界に実際にないものが見える。
Q 注意点は?
A

飛蚊症自体は生理的なものが多いのですが、注意していただきたいのは、この症状が出る「別の病気」です。

  • 網膜剥離・・・・・・網膜が眼底から剥がれてくる病気(視野が欠ける、ものがゆがんで見えるなども含む)。
  • ぶどう膜炎・・・・・・ぶどう膜(網膜の外側)に慢性の炎症が起きる病気。
  • 眼球の感染症・・・・・・ケガや白内障などの手術後の感染。
  • 糖尿病等による硝子体出血・・・・・・網膜血管が切れるなどで、眼底からの出血が硝子体内に入り込む。

眼精疲労

眼精疲労

パソコンを使用する環境が多くなり、症状を訴える方が増えています。
「疲れ目」とは違い、通常の休養や睡眠では改善できないほど酷い状態が眼精疲労です。

Q 症状は?
A
視界がぼやけたりかすんだりする。眼球に痛みがある。頭痛やおう吐など。
Q 注意点は?
A

目の酷使によって現れる痛みとさまざまな症状ですが、白内障や緑内障といった疾患の症状と同じであることから注意が必要です。
また、脳疾患や神経系の病気を疑う必要もあります。

専門医での定期検査や、老眼鏡を合わす際に眼底を調べておくのもよいでしょう。

ドライアイ

涙の不足や、涙の成分の変化のために、目の表面が傷つきやすくなったり、見ることに障害が起きたりする状態です。

涙の不足や、涙の成分の変化のために、目の表面が傷つきやすくなったり、見ることに障害が起きたりする状態です。

涙は、まばたきすることで水分の薄い膜になり、眼球の表面をカバーします。
それによって、乾燥やゴミ・細菌の進入から目を守ってくれるのです。
目には「目への刺激→神経による伝達→涙が出る」というシステムがあります。
ドライアイでは、このシステムの機能が弱くなるなどの所見を認めます。
また、このシステムが働いても涙の質に異常が起きてしまい、目を保護できる涙ではなくなっている場合もあります。
これもドライアイのひとつです。

Q 症状は?
A
目が乾いた感じがする。理由もなく涙が出てくる。目が疲れやすい。目に痛みやかゆみがある。目がゴロゴロする。目が重たいような感じがする。モノがかすんで見える。弱い光にかかわらずまぶしい。目が赤くなる・目やにが出る、など。
Q 注意点は?
A

乾いた眼球は、涙で潤った眼球に比べて角膜への負担が大きくなります。
角膜炎をはじめ、眼球そのものを傷める可能性も高まり、感染症の危険性も出てきます。

身近なところでは、コンタクトレンズの使用に対してより慎重になる必要があります。

コンタクトレンズの処方時などには、ご自身の目の状態を十分把握しておくことが、目の健康を長く守る上で大切です。

角膜炎

黒目の表面の角膜に炎症が起こった状態の総称です。

黒目の表面の角膜に炎症が起こった状態の総称です。

厳密にいえば「角膜と強膜の病気」です。

目に異物が入った傷、コンタクトレンズでのトラブル、ドライアイ、細菌・ウイルス・真菌(カビ)感染などが主な原因です。
特に最近は、処方箋のない市販コンタクトレンズを不注意に扱ったために、角膜を傷つけ失明したなどの例もあります。

Q 症状は?
A
目が激しく痛む。白目が充血する。異物感(ゴロゴロ感)がある。光がまぶしくて目が開かない。
Q 注意点は?
A

すぐに専門眼科を受診し、その指示に従ってください。
主に点眼薬で治療をしますが、感染症を起こしている場合、抗生物質の投薬もあります。

コンタクトレンズは眼科医の処方を受け、正しく管理(消毒や保管)、使用(人との貸し借りはしない、清潔な手で触る)してください。