糖尿病網膜症・黄班変性症
生活習慣病検診の年齢になったら、眼底検診の受診をおすすめしています。
眼底は、集まる毛細血管を直接観察できる唯一の場所です。
それは体の中の血管全体を把握することにつながります。
糖尿病網膜症
糖尿病の合併症で目に現れるものとしては「網膜症」があります。
眼球の一番奥、眼底には神経の膜の網膜があります。
ここには多くの毛細血管が集まっています。
高血糖により網膜血管が障害され、血液の流れが悪くなると、網膜には酸素や栄養素が届かず、本来ないはずの弱い新生血管ができ、硝子体出血を引き起こし視力低下を引き起こします。
手術の内容
レーザー光凝固術
網膜にできる新生血管をレーザー照射で防ぐ方法です。
網膜出血の治療にも有効です。
治療が遅れると視力の回復は難しいですが、網膜症の進行を遅らせることが可能です。
通院で治療ができ、麻酔(点眼)をして1回15~30分程度で終了します。
症状によって数回に分ける場合もあります。
硝子体手術
硝子体出血を起こしたり、網膜剥離を起こしたりした場合には、硝子体手術が必要になります。
当院では北野病院に紹介し、退院後の診察(経過観察、消毒)などにも対応しております。
治療と他の診療機関との連携
初期の眼底出血では自覚症状はなく、進行してから、視力低下を自覚するので、糖尿病の診断をうければ定期的な眼底受診をお勧めします。
網膜症は、血糖コントロールで眼底出血を改善できることもあります。
患者さんのご希望の一般内科と、連携した治療を行うことで、治療の効果を十分なものにしていきます。
高血圧網膜症
高血圧や動脈硬化は、網膜の血管にも影響を及ぼします。
高血圧網膜症は、網膜出血や網膜浮腫や視神経乳頭浮種を起こす原因となり、黄班(網膜の中心)に浮種がおこると視力障害をきたすこともあります。
網膜浮腫や網膜剥離を起こすまでに進行、悪化すると、視力低下が著しくなります。
網膜症が高度に進行すれば、レーザー光凝固術を施行します。
さらに進行し硝子体出血などを認めれば手術が必要です。
黄班変性症
加齢により黄班部(網膜の中心)の網膜色素上皮が障害される病気です。
大きく2つのタイプに分類され1つは網膜色素上皮が萎縮し網膜の感度が低下するもの、もう一つは脈絡膜から新生血管(異常血管)ができ網膜下に液がたまったり、出血がたまることで網膜を障害するタイプがあります。
当院では光干渉断層計(OCT)により初期変化から検査ができます。
【予防】
禁煙、サプリメント内服、食事の改善など。
両目では欠損部分がわかりにくいので、片目ずつ確認する方法を使います。
その他、光線力学療法、レーザー凝固などがあります。